ご挨拶
当機構は、「ヘルスツーリズム」による健康づくりや疾病予防を促し、市民の健康生活に寄与することを目的として2006年に設立され、翌2007年にNPO法人として内閣府の認証を受けた公益法人です。
健康社会の発展とともに、私たちが振興に取り組んできた「ヘルスツーリズム」にも変化の兆しがみえてきました。
公衆衛生学、スポーツ健康科学、社会科学等の分野において、「ヘルスツーリズム」を研究対象とする研究者が散見されるようになったほか、大学等の教育や人財のキャリアとしても注目されてきていることが挙げられます。
また、産業界においてもヘルスツーリズムへの期待が高まっています。
具体的には、わが国が「健康立国」を標榜する中で、健康志向のさらなる高まりや日本が有する健康長寿国ブランドの活用などを背景に健康寿命延伸産業に注目が集まり、その中にヘルスツーリズムは位置付けられております。
地域資源を健康や観光の双方に活かすヘルスツーリズムは地域ヘルスケアビジネスとして地方創生の観点から、取組みや需要が飛躍的に高まり、当機構にも高い期待をいただくようになってきました。翻って、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、世界中の人々の意識は大きく変化していきました。我々が関係する健康、観光・旅行分野においても、質の高い衛生管理が求められるようになってきています。
こうした社会情勢の変化の中で、当機構は、「健康」と「観光」の融合をさらに取り組んでいきます。従来の健康増進分野に観光衛生マネジメントの要素も加え、
学術、地域、行政、産業界の皆様ととともに研究や取組みを加速させ、新たな未来の健康社会の持続的な発展に貢献していきます。
特定非営利活動法人
日本ヘルスツーリズム振興機構
理事長 下光 輝一
ヘルスツーリズムとは
ヘルスツーリズムとは、旅行という非日常的な楽しみの中で、旅行中のトラブルを回避したり、健康回復や健康増進を図るものをさします。そして旅をきっかけとして、旅行後も健康的な行動を持続することにより、豊かな日常生活を過ごせるようになることをいいます。
定義
当NPO法人では、ヘルスツーリズムを「健康・未病・病気の方、また老人・成人から子供まですべての人々に対し、科学的根拠に基づく健康増進(EBH:Evidence Based Health)を理念に、旅をきっかけに健康増進・維持・回復・疾病予防に寄与する」ものと定義しています。
ヘルスツーリズムの分類
ヘルスツーリズムを分類すると、健康増進を目的とした「疾病予防」と、病気の早期発見や早期治療を目的とした「メディカルツーリズム(医療インバウンド)」とに大別されます。両者は日本国内では異なった産業分野として取り扱われていますが、欧米諸国、東南アジア諸国の一部では第一次予防から第三次予防の流れで、一気通貫で取り組まれている事例もあります。
疾病予防
ヘルスプロモーション
人々が自らの健康をコントロールし、改善できるようにするプロセスであるヘルスプロモーションとしてのツーリズム。一般的な健康づくり全般を指しているものであり、広く取り組まれている領域。
特定疾患の予防
メタボリックシンドロームやメンタルヘルス対策など特定疾患の予防を目的とした領域。主に企業の人事施策や福利厚生施策として注目が集まってきている。糖尿病の重症化予防を目的とした「宿泊型新保健指導プログラム(スマート・ライフ・ステイ)」など、職域向けの国家施策にもなっている。
ウェルネスツーリズム
旅先でのスパ、ヨガ、瞑想、フィットネス、ヘルシー食、レクリエーション、交流などを通じたライフスタイルとしての領域。地域の資源に触れ、新しい発見と自己開発をしたり、原点回帰し、リフレッシュし、明日の活力を得ることが目的とされている。
メディカルツーリズム(医療インバウンド)
わが国においては主にインバウンドを指す領域。訪日外国人の患者さんに対して、主に日本の先進医療を提供するツーリズムであるが、内容自体は観光性が低いというのが特徴になっている。
健診・検診
病気の早期発見や治療を目的とする。
治療
美容整形も含む広義な意味での治療を目的とする。
リハビリテーション
治療後のリハビリテーションを目的とする。
ヘルスツーリズムプログラムの特徴
ヘルスツーリズムのプログラムを体系的に整理すると以下のように整理できます。プログラムの参加人数との関係、マスツーリズム型かオーダーメイド型か、あるいは医療のエッセンスが多く含まれているもの、ユニバーサル・バリアフリー系からレジャー的なプログラムまでに実に幅広いプログラムが存在しています。